日々の生活がちょっと楽しくなる 文様トリビアン!

こんにちは。文様研究室 シニア研究員のヒゲモンです。

「文様」ってただのパターンとか背景だと思っていませんか?

文様は単なる図形ではなく、人々が自然への畏敬を発端に、縁起や粋を上乗せし、思いを込めて、生活に密着してきたものなんです。

今の時代だからこそ、ぜひ知っておきたい「文様のトリビア」をお伝えします。


伝統文様の王様 青海波

まずは、一番と言って良いと思いますが、有名な伝統文様「青海波」。「せいがいは」

と読みます。青海波は、正円の円弧のみで描かれている幾何学文様の代表の一つです。

シンプルです。

正円で一つ一つの波頭のエネルギーを表現し、無限に続く繰り返しで、海の広大さを表しています。円弧が放射線状に並んでいますので、扇型に拡散していくエネルギーを感じます。電波の受信状況のアイコンにも似ていることでも有名ですね。


実はペルシャから来た

最も日本っぽい文様に見えますが、実は、もともと古代ペルシャのササン朝(226年から651年)様式の文様なのです。ササン朝様式は、飛鳥時代にシルクロードを経て伝来しました。遣隋使が持ち帰ったササン朝様式の工芸品は法隆寺の獅子狩文錦(国宝)、正倉院の漆胡瓶などが代表的です。日本の美術にかなり影響を与えたのではないでしょうか。

特に「青海波」は古くから事象を幾何学的に表現する古代ペルシャの文化を日本が見事に自分たちの文化に取り入れた好事例と言えます。


文様を用いた身の回りへのアプローチ

つづきまして、青海波貼りともいわれる今に残る石畳の張り方をご紹介しましょう。


<神楽坂の石畳>

東京の「神楽坂」は今も花柳街の面影を残している魅力的な街並みです。

かつて芸子さんたちが行き交った路地の石畳が「青海波貼り」などと呼ばれる円弧を描いた手法で貼られていたことをご存じですか?

ピンコロ石を敷き詰めた花柳街の面影を残す神楽坂の一角

サイコロ状の石をアーチ状に敷き詰められていますね。「青海波貼り」「アーチ貼り」「扇貼り」「うろこ貼り」などと呼び方はいろいろです。

神楽坂では、すべらないように、サイコロ状の石を敷き詰めたのですが、その時職人が「扇型が末広がりで縁起が良い!」と青海波のようなアーチ状に石を並べて仕上げたらしいです。

しかも、文様の力をかりて花柳街へ誘うように一定方向へ仕向けているといいます。

かくれんぼ横丁の入り口

気が付かれましたか? アーチの方向です。一般道から花柳街に向けて波が足を進ませます。ついつい、魅惑的な路地に足が向いて引き込まれてしまいますね。アーチの持つ放射型の力をうまく作った意匠といえます。

文様の視覚効果を用いた石畳は横浜にもありました。


<野毛坂の坂道>

横浜の野毛坂の石畳です。急な坂面を波が下から上へ一定方向に流れるように敷き詰められており、上り坂でも足が自然と進んでくれそうですね。今は、残念なことに大分アスファルトに替わってしまったようです。

上の方は、まだ残っています。

はじっこだけ、名残りがありますね。

坂に敷かれたアーチ形の石畳はほとんどが、坂を上る方向にアーチが向いています。下向きの模様があったら、きっとのぼる抵抗感が増してしまうでしょう!気にしてみてください。


まとめ

いかがでしたか。文様のトリビア。

文様の由来や、込めた想いに想像を巡らせて文様を見つめてみると、今日がちょっと楽しくなりますね。

これからも、身近な文様のトリビアをお届けしていきたいと思います。


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